暴落でも売らなかった話 2024
「資産が一日でごっそり減る瞬間」を、あなたは経験したことがあるでしょうか。
私はあります。それも一度や二度ではありません。投資を3年以上続けていると、相場の急落は避けて通れないイベントです。今日は、その中でも忘れられない2024年8月の大暴落のとき、私が何を考え、結局どう行動したのかを正直に書いてみます。
結論から言うと、私は売りませんでした。それどころか、少しだけ買い増しました。なぜそんなことができたのか——派手なテクニックの話ではなく、地味な「心構え」の話です。
2024年8月5日、「令和のブラックマンデー」
2024年8月5日、日経平均株価は前日比で4,451円も下落し、終値は31,458円。下落幅としては過去最大を記録しました。ニュースでは「令和のブラックマンデー」という言葉が飛び交い、私のスマホにも値下がりの通知がいくつも届いたのを覚えています。
正直に言えば、画面を開くのが少し怖かったです。コツコツ積み立ててきた資産が、一日でまとまった額だけ目減りしていたのですから。
ところが面白いもので、相場は翌日に3,217円高と大きく反発しました。つまり、あの日パニックになって底値で売ってしまった人は、わずか一日で訪れた反発の恩恵を受けられなかったことになります。もちろん、これは「結果論」です。当時はこの先どこまで下がるのか、誰にも分かりませんでした。
そして翌2025年にも、いわゆる「トランプショック」と呼ばれる急落を経験しました。暴落は、忘れたころに必ずやってきます。
こわくなかったわけではない
誤解のないように書いておくと、私は「肝が据わった投資家」ではありません。暴落のニュースを見れば人並みに不安になりますし、含み益が一気に縮むのを見て気持ちのいい人はいないと思います。
それでも手が止まったのは、根性や度胸の問題ではなく、あらかじめ「こう考えておこう」と決めていたことがあったからです。下がってから考えるのではなく、平常時に決めておく。これが私にとっては一番効きました。
それでも売らなかった、3つの理由
① 歴史的に、市場は時間をかけて回復してきた
過去をふり返ると、株式市場は何度も大きな暴落を経験しています。それでも長い目で見れば、そのたびに時間をかけて値を戻し、さらに上を目指してきた——という事実があります。
もちろん「過去がそうだったから未来も必ずそうなる」という保証はどこにもありません。ただ、歴史の大きな流れを知っておくと、目の前の一日の下落に振り回されにくくなる、というのが私の実感です。
② 世界経済は、長い目で見れば成長していくと信じている
私が積み立てているのは、世界中の企業にまとめて投資するタイプのインデックスファンドが中心です。これは言いかえれば「世界経済そのものの成長に賭けている」ということ。
もし世界経済が長期にわたって成長しなくなるとしたら、それは私の資産どころか、私たちの暮らし全体が立ちゆかなくなる状況です。だったら、その成長を信じて握りしめておくほうが筋が通っている——そう考えると、暴落は「いつか来る通過点」として受け止めやすくなりました。
③ これは「長期・積立」。短期トレードとは別競技だと自覚する
私がやっているのは、毎月コツコツ積み立てて長く持ち続ける投資です。数日や数週間で売り買いして利ざやを狙う短期トレードとは、そもそもルールの違う別競技だと考えています。
短期トレードの世界では、急落時にすばやく逃げるのが正解な場面もあるでしょう。でも長期・積立の私にとっては、暴落はむしろ「同じ商品を安く買えるバーゲン」に近い。だから売るどころか、少しだけ買い増したのです。やっていることがブレないと、暴落時の判断もブレにくくなります。
かつて「短期売買」で大失敗した自分だから
偉そうに書いていますが、私自身、若いころに短期売買で大きな失敗をした経験があります。値動きを追いかけて一喜一憂し、最終的には手痛い結果に終わりました。詳しい金額は伏せますが、当時の自分にとっては相当こたえる出来事でした。
あの失敗があったからこそ、「自分は値動きを当てる才能がない」とはっきり自覚できました。だったら、未来を当てにいくのではなく、当てにいかなくても続けられる方法を選ぼう——その答えが、今の長期・積立スタイルです。失敗は授業料として高くつきましたが、無駄ではなかったと思っています。
握力を支えてくれた一冊
暴落のときに「売らずに握り続ける力」、いわゆる握力を支えてくれた本があります。『ウォール街のランダム・ウォーカー』です。
この本には、過去の暴落の歴史や、なぜインデックス投資が合理的だと考えられるのかが、データとともにていねいに書かれています。下落で気持ちがぐらつきそうなとき、私は何度もこの本に書かれていたことを思い出して、「今は売るときじゃない」と自分に言い聞かせていました。理屈で納得しておくと、感情に流されにくくなります。
結局、いちばん強かったのは「ほったらかし」だった
暴落をいくつか乗り越えてみて、私がたどり着いた答えはとてもシンプルです。変に動かず、ほったらかしておくのが、自分にとっては一番うまくいったということ。
暴落のたびに売ったり買ったりを繰り返していたら、きっと私はどこかで大きく判断を誤っていたと思います。何もしない——正確には「あらかじめ決めたことを淡々と続ける」——というのは、地味ですが、想像以上に強い戦略でした。
もちろん、これはあくまで私個人の考え方と体験であり、すべての人に当てはまる「正解」ではありません。暴落時にどう行動するかは人それぞれですし、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。それでも、「売らずに続ける」という選択肢があることを、この記事が誰かの握力の支えになれば嬉しいです。
つみたてを3年続けてわかったことは、こちらの記事にまとめています。あわせてどうぞ。
▶ つみたてNISA・インデックス投資を3年続けてわかった5つのこと【会社員のリアル】
また、過去3年の自分の投資判断をAIに採点してもらった記事もあります。「暴落で売らなかったこと」がどう評価されたのか、よければ覗いてみてください。
▶ 過去3年の投資判断を、AIに採点してもらった話|会社員投資家のAI活用⑤